アジアにおけるアメリカの歴史的使命

マイク・ビリントン
2010年1月8日

asia and usa第二次世界大戦時、フランクリン・ルーズベルト大統領はウィンストン・チャーチル首相に対し、アメリカは大英帝国の繁栄を守るために戦っているのではなく、この世界から植民地主義を排除し、独立国家を主体とするアメリカン・システム及びテクノロジーを旧植民地国に配給することを使命としていることを明快に告げています。彼はアメリカ合衆国を、20世紀初期に蔓延しつつあった英国の帝国主義的風潮から解放し、共和国の起源に返還することに死力を尽していたのです。

コロンバスは“極東”を発見するための航海中、ニコラス・クーザ枢機卿の協力者であるパウロ・トスカネリの作成した地図を頼りにしていました。マサチューセッツ及びヴァージニアに降り立った英国系居住民たちもまた“西”を求めて開拓し、共和国の原則を世界へ配給することを使命とし、太平洋を越えるにいたるのです。ジョン・ウィンスロップはマサチューセッツ・ベイ・コロニーについて、こう語っています。

「我々は、山頂の都とならなければならない。全人類の視線が注がれているからである。」
この概念はやがて共和国アメリカの座右の銘となり、“人類は皆平等に創られている”との原則の礎となるのです。

リンカーン大統領は、英国に後ろ盾されていた南部の奴隷制に対し、大陸横断鉄道を推し進め、国内産業と農業の近代化を図ると共に、波及し続ける新世界の“自由の鼓動”をアジアにおける植民地の国々まで鳴り響かせようと望んでいました。

20世紀初期、ウィリアム・マッキンリー大統領は、英国を黒幕とした団体による凶弾に倒れ(1901年)、アメリカは、フランクリン・ルーズベルト大統領就任(1933年)により建国の父たちの原則が再現されるまで、大英帝国の影響により窮地に立たされていたのです。

ルーズベルト大統領は英国に支配されていたウォール街の銀行を再構成し、巨額のクレジットを建設的事業に投じ、労働者の創造意欲を掻き立て、前代未聞のインフラ事業を成功させると共に、産業と農業を拡張することで“民主主義の工場”(Arsenal of Democracy)を確立したのです。

彼は“帝国主義”がアメリカの宿敵であることを悟っており、また世界秩序に対する脅威であることも把握していました。英国は常に帝国主義を死守し、ユーラシアの分割及び解体を目論んでおり、そのために恒久的紛争状態を扇動し続けているのです。ルーベルト大統領は、英国自身が財政援助をし育て上げたナチスの“フランケンシュタイン”が、ロシアへ向かわず英国を爆撃し始めた結果、英国を援助することになりますが、アメリカの宿敵が寡頭制及び植民地主義であるという理解に曇りは生じなかったのです。

チャーチル首相は、ルーズベルト大統領によるロシア、中国、英国、アメリカの平等を旨とする協定に憤怒の形相を隠せませんでしたが、英国には選択肢は存在せず、故に妥協を強いられるのです。ルーズベルト大統領は、ユーラシアの発展はファシズムに打ち勝つためだけでなく、戦後の脱植民地化による世界的経済復興に欠かせない要因だと理解していたのです。

1945年4月の彼の死は、親英派ハリー・トルーマンに権限を与えることになり、アメリカは、戦時中に生み出した生産性をアジア及びアフリカの独立開放に利用するどころか、英国の再植民地化を手助けすることになるのです。英国は、植民地政策はコミュニズムを阻止するために必要不可欠だと説き、“冷戦”と呼ばれることになる新たな“三十年戦争”の種を植えつけていくのです。

戦時中のアメリカ、中国、ロシアの協定は覆され、ケネディー大統領が英国の暗躍により暗殺されるころには、アメリカはインドシナでの仮想の敵ロシアと中国に対する代理戦争に巻き込まれ、経済は組織的に崩壊の一途を辿り、今日にいたるまで英国の影響を拭い去ることができず、現大統領もまた同様に操られているのです。

今日の四大国協定(ロシア、中国、インド、アメリカ)は、アメリカの可能性を引き出し、伝統的また自然な同盟国であるアジア諸国と共に植民地主義を根絶し、“山頂の都”を再構築することを目的としているのです。

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戦力的概要

1.ロシア・中国
2009年10月13日、ロシアと中国は、現在中国の保有する巨額の米国債を、担保あるいは保障として、広大なシベリア地方への多彩なインフラ整備事業及び中国内のロシア製原子力発電事業等への長期融資を行うことに合意しました。リンドン・ラルーシュ氏はこの合意を世界史に残る注目すべき出来事だとし、これが世界経済を救うのに唯一の手段となる太平洋に沿った国々、即ち、ロシア、中国、インド、アメリカによる“四大国協定”の礎となる可能性を秘めているとしています。

2.インド・ロシア
昨年12月に行われたインドのマモハン・シン首相のモスクワへの訪問は、冷戦後より膠着していた経済関係を再構築し、具体化させる方向性を示唆しています。

3.中国・インド
コペンハーゲンで行われた“環境サミット”での中国とインドの合意は、世界人口削減を提唱する英国の帝国主義的意図を挫き、国家間の共和主義的関係を推進するものとして明記するに値します。1962年より続いてきた国境問題を乗り越え、この多くの人口を抱えた両国は、互いに協力する以外に道は無いことを把握しているということです。

4.韓国・ロシア・モンゴル
韓国のイ・ミョンバク大統領の政権は、実質的な四大国協定のパートナーとして成長しており、ロシアとの協力関係は特に注目すべき点です。韓国は現在テクノロジー配給国の地位にまで上り詰めているのです。2009年9月のイ大統領のモスクワ訪問にて合意された要綱の中で主要なものをここにあげます。

a) アムステルダムからプサンに至る“ユーラシア横断鉄道”を、朝鮮半島横断鉄道およびシベリア横断鉄道との接点を築くことで、完成させる;
b.) 北朝鮮を通過するロシア・韓国間のガス・パイプラインの建設;
c.) 韓国のシベリア極東地域へのインフラ設備投資およびロシアとの経済協力の強化;

北朝鮮の状況はこの情勢には必ずしも適してはいませんが、ソウルはロシアの日本海に面した海岸沿いに貿易港を共同建設中であり、ロシアとの関係を強めるためにシベリア横断鉄道への迂回路建築に着手しているのです。
イ大統領政権は長期的視野として、北朝鮮の労働力と韓国のテクノロジーを有効利用し、ロシア極東事業を経済発展の指標とすることで、朝鮮半島の平和的“再統一”につなげていく考えを示しています。

韓国は更にモンゴルへの巨額投資を検討しており、地理的には韓国全土をはるかに越える広大な未開地の発展を重点としています。初期の投資は天然資源の発展に向けられますが、近いうちに新たな町を作り、産業、農業、交通手段の事業等に着手する意向です。
韓国は既に、中央アジア及び東南アジアにおける産業やインフラ事業の主要投資国であり、イ大統領は、“朝鮮半島の再統一は、ユーラシア及び太平洋への接点を供給することになる”と語っているのです。

5.韓国・アラブ首長国連邦
今月(2010年1月)時点で、韓国は初めて原子力テクノロジーの“輸出国”となり、アラブ首長国連邦に1400メガワット級の原子力発電所を建設する二兆円の契約を取り付けています。知識経済省長官(Knowledge-Economy Minister) チェ・ギョンファン氏はイ大統領と共にアラブ首長国連邦に訪れ、記者会見の際、ソウルが原子力テクノロジーの建築と共に、車産業、造船業、IT産業などを考慮した全体計画の大綱をまとめていることを明らかにしました。

現在アジアは、原子力テクノロジーの需要が頂点に達しているにもかかわらず、それに見合った供給を行うことができない切迫した状況に陥っています。近代の原子力国家であるロシア、日本、インドはその可能性を十分に生かすことができず、欧米国家が原子力の可能性を殺ぎつつある今日、“原子力国家の新星”韓国の出現は、世界規模のエネルギー問題を解消するための重要な一歩をいえるのです。

6.日本・ロシア・インド・中国
現在において、日本が四大国協定を“先導”していく可能性は低いといわざるを得ませんが、この協定が設立されれば、韓国同様、太平洋中心に世界経済の発展を担っていく重要な役割を果たすと考えられます。主権を握っている民主党の鳩山政権は、中国とインドに対する外交政策の改善および更なる経済協力を進めています。

鳩山首相は就任初の国外訪問先として中国を選び、小沢代表は先月(12月)143人の民主党議員を含む600人の役員と企業関係の代表を連れ中国訪問を行っています。小沢代表は日本と中国の今後の関係を、21世紀の人類にとって重要なパートナーシップになると語っています。更に、中国共産党書記長であり次期大統領と見られている習 近平(しゅうきんぺい)氏は来日の際、天皇陛下とも会合を行っています。中国防衛省の梁 光烈(りょうこうれつ)氏も東京を訪れ、前例の無い防衛協定を成功させているのです。

日本は中国との関係を改善させると共に、ロシアとインドとの関係にも力を入れています。先月、岡田外相はロシアのセルゲイ・ラブロフ外相との会合にて極東ロシアの発展の重要性を語り合い、メドヴェージェフ大統領と鳩山首相が双方、第二次大戦より続く北方領土問題を解消し、ユーラシア発展に向けた関係改善を望んでいることを明らかにしています。

同月、鳩山首相は更にインドを訪れ、急速に進みつつあるインドへの投資を踏まえマモハン・シン大統領との会合を行い、ニューデリーとムンバイを結ぶ貨物線路などの大規模インフラ事業について話し合うと共に、日本による高速電車等のインドへの配給なども、既に協議されているのです。